BLOG

矯正治療を始めてから歯がしみる!虫歯になった!?

矯正治療を始めてから、冷たい水などがしみるようになってきた。

歯医者さんに相談したら『一時的なものだから大丈夫ですよ』と言われたが、虫歯になっていたり、矯正治療がうまくいっていないのではないかと心配なる方も多いでしょう。

こちらの記事では、なぜ矯正治療中にしみる症状が出ることが多いのか。また、どうやって対処したら良いのかについて実際の当院での対応を交えて解説していきます。

 

【目次】

  1. 矯正治療を始めてから歯がしみる!虫歯になった!?
  2. 歯がしみる原因
  3. 対処方法
  4. まとめ

 

1.矯正治療を始めてから歯がしみる!虫歯になった!?

歯 酸 弱い

矯正治療を始めてから歯がしみるようになる方は実際に多くいらっしゃいます。

矯正治療にはマウスピースによる矯正とワイヤーによる矯正がありますが、どちらの場合もそのリスクはあります。

では歯がしみる症状は、そもそもなぜ生じるのでしょうか??

 

矯正治療中にしみるケースは大きく分けて二つです。

①知覚過敏症状

歯の根の表面は本来、歯ぐきや骨に守られている状態です。しかし、何らかの理由でその防御が効かなくなった場合に知覚過敏の症状が生じます。

矯正治療中は歯ぐきや骨の中を歯がゆっくりと動いていきます。歯が動き出すと間にすき間が生じている状態となり、今まで周りの組織に守られていた部分に対して冷たい水などの刺激が伝わるようになります。

そのため今までは何もなかったのに矯正治療をするとしみるようになることがありますが、歯の動きが安定してくると徐々におさまってくることがほとんどです。

 

②虫歯

虫歯になるとエナメル質の構造が破壊され、エナメル質に穴が空いている状態になります。これが深くなってくるにつれ歯の中にある神経に近づき、しみる症状が出現するようになります。

矯正治療をするにあたって、装置等により虫歯のリスクが上がります。そのため矯正治療中は必ず定期的に清掃状態の確認と虫歯のチェックを歯科医師にしてもらいましょう。

 

それではそれぞれの原因をさらに詳しく解説していきましょう。

 

MIペースト関連記事

MIペーストとは?フッ素との効果の違い

 

2.歯がしみる原因

①一時的に歯と歯ぐきの間にすき間ができるため

歯列矯正中は歯を骨の中から動かそうとして力をかけているため、歯は揺れが一時的に強くなっている状態です。

厳密に言うと、歯と骨の間や歯と歯茎の間は通常よりも隙間が空いている状態となります。

そのため、その隙間に対して冷たい水や空気が入ることでしみる感覚が生じます。

これは虫歯ではなく一時的な知覚過敏症状であると言えるでしょう。

歯の動きが落ち着いてくると徐々に歯の周りの状態も安定してくるため知覚過敏症状も落ち着いてきます。

 

②歯ぐきが下がってしまった

矯正治療に伴うリスクの一つとして、歯肉退縮があげられます。

これは歯を動かすにあたって骨の位置や歯肉の状態を十分に確認することが大前提ですが、問題ないと思われる状態でも歯肉退縮を認めることがあります。特に、成人の中でも体の代謝低下が少しずつ見られる30代以降の方に多く見受けられます。

歯茎が下がってしまうと、上の図のように神経が近くにある歯の根っこが表面に見えてしまいます

そのため刺激が直接伝わってしまい、冷たい水などで強い痛みを感じるようになってしまいます。

 

③IPR(歯をうすく削る処置)によるもの

歯 間

IPRの処置は一番硬い層であるエナメル質をおよそ0.5mm以内の範囲で削る処置です。

歯を並べるためのスペースメイキングとして非常に有用な処置で、近年ではよく用いられる手法です。

ほとんどは1本につき0.1mm〜0.2mmなどの調整が多く、肉眼で何とか隙間が見える程度の調整量です。

ですので痛みが出ることはほとんどなく、稀に調整した刺激で一時的にしみる感覚になる方がいるようです。

 

④オーバーブラッシング

歯磨き 痛い

矯正治療中は歯を磨きにくくなるがゆえに磨き過ぎて痛みがでることもあります。

これはオーバーブラッシングと言い、必要以上に歯を磨くことで歯の表面や周囲の歯肉を傷つけてしまい痛みが出てしまうことがあります。

治療中は歯医者さんに通う回数も通常より多く、歯科衛生士さんによる歯磨き指導の機会も増えます。それにより意識が高まって歯磨きの回数や時間が増え、過剰に磨いてしまう方も稀にいらっしゃいます。

歯をしっかり見ることや定期的に磨くことは非常に重要ですが、過度な歯磨きには気をつけましょう

 

⑤虫歯になった

虫歯

実際に歯磨きがしにくくなることで虫歯になるケースもあります。特に装置が固定式で入っている場合に多く、装置周囲は特に注意が必要です。

また、今までは歯並びが悪くガタガタしていたところが綺麗に並んでくると虫歯がゆっくりと出現することがあります。なぜなら歯と歯の間に虫歯ができることが元々非常に多いことと、大きな穴になっていなければ治療をせずに様子見をしているためです。

歯並びが悪い方ほどコントロールが難しいため、隠れていた小さい虫歯が出てきます。隠れているのは小さい虫歯のため痛みを感じることは滅多にありません。もし虫歯が見えてきた場合は、治療しやすい角度になったときに歯を削る量を最小限にする方法で治療を進めていきます。

 

3.対処方法

歯 守る

歯の矯正によりしみる症状がでることはそれほど心配いりませんが、来院した際に歯医者さんで必ず相談しましょう。また、症状が強いようであれば対処をしてもらう必要があります。

それでは対処方法についてみていきます。

①しみ止めを塗る

知覚過敏を抑えるお薬を表面に塗布してもらうことでいくらか痛みは軽減します。

これは歯の表面に露出した根の部分に対してお薬を浸透させることでバリアを作る役割があります。1回の塗布で効果がある場合もありますし、3、4回塗布しながら徐々に緩和していくケースもあります。

知覚過敏に対して効果のある成分は歯磨き粉にも含まれているものがありますので、そういった商品を併用することでも効果があります。

 

②歯磨きを工夫する

矯正治療中は装置によっては歯磨きが非常に難しくなります。

特にワイヤー矯正治療中は取り外しができないため、装置周囲のコントロールはご家庭でも何種類かの清掃器具を使用しながらメインテナンスをしていただく必要があります。

また、今までより歯に対する意識が高まるため必要以上に歯磨きをしてしまうケースも多くありません。オーバーブラッシングにより歯肉退縮が生じたり歯の表面の構造を破壊してしまうこともありますので、適切な歯磨きの仕方を歯科衛生士さんに確認してもらいながら矯正治療を進められることをオススメします。

 

矯正治療中の歯の磨き方【動画】

矯正治療中の歯の磨き方〜フロス、ワンタフト、歯間ブラシ編〜

 

③虫歯の治療をしてもらう

もし虫歯が原因でしみている場合は、すみやかに虫歯治療を進めてもらいましょう

今まで歯と歯が接していたためしみなかったところが、表面に出てくることで刺激を受けやすくなりしみるようになることがあります。その場合は虫歯治療をすればしみる症状は落ち着くことがほとんどです。

 

4.まとめ

矯正治療をしてから歯がしみるようになると、治療がうまくいっているか不安になることもあるでしょう。上記で記載した通り矯正治療中に歯がしみることは若年者から成人の方にかけて幅広い層で見られるものです。

特に大きく歯を動かしたときに、その歯が動いた後の環境に馴染むまでそういった症状が出る印象が強いです。そういった症状は適切な処置を行うことや時間とともに改善することがほとんどですので、心配をなさらずに治療中の歯医者さんにご相談してみてください。

何か変化があったり不安なことがあったりする場合は、その都度歯医者さんで確認すると良いでしょう。不安なく矯正治療を終えられるようサポートできればと思っておりますので、良ければ参考にしてみてください。

 

監修者情報

2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業

2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了

2017年 日本矯正歯科学会認定医取得

詳しい経歴はこちら
矯正の症例紹介はこちら