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小児矯正を第一期でやめるのは大丈夫?

小児矯正の一期治療(主に小学生の間)がほとんど終わり、今後二期治療に進むかどうか悩まれてはいませんか?
先生より二期治療に進んだ方が良いと説明を受けたものの追加の費用がかかることやさらなる矯正治療の期間が必要となるため簡単な判断ではないでしょう。

そもそも一期治療と二期治療の違いを正確に理解している方も少ないのではないでしょうか。二期治療がどういった目的をもって行われるか、そしてどれほどの重要性がある治療なのかを知っておくべきです。

こちらの記事では、一期治療のみでやめた場合どういったリスクがあるか、二期治療ではどのような治療を行うかなどを中心に解説していきます。

【目次】

  1. 小児矯正を第一期でやめるのは大丈夫?
  2. 第一期と第二期治療の違い
  3. 第一期でやめる理由は?注意すべきことは?
  4. 一期治療で終われるケースとは
  5. まとめ

小児矯正は主に一期治療と二期治療に分けられ、極端に噛み合わせが悪い場合は6歳より前から矯正治療の準備期間(咬合誘導)に入る場合もあります。

一期治療は歯の位置を細かく動かして並べるというよりは、歯の生え替わりに合わせてスペースを確保したり上下の顎のバランスを整えることがメインに行われます。

一期治療をすすめていくにあたり、検査の時点で次の2つに分かれます。

①一期治療で終了を目標として矯正治療を始めるケース

②2期治療に進む前提で、スムーズに二期治療を始めるための準備として一期治療を始めるケース

このように事前の検査や診断により、第二期治療をする前提で第一期治療を開始する場合もあります。
一方で第一期治療で十分改善し噛み合わせや見た目もしっかり治るケースもあり、その場合は一期治療で完結するため全くご心配なさらなくて良いでしょう。

先生から二期治療のお話が出るということは噛み合わせや歯並びも不完全であると予想されますので、より良い歯並びを求めるのであれば二期治療に進まれるのが望ましいといえます。

保護者様に対して二期治療に進むかどうかお聞きするのは、”最終的な治療のゴールをどこに設定しているか”を再確認し共有するためです。

(最終的な治療のゴールの例)

  • 極端なガタガタだけ治れば良い
  • 八重歯を治したい
  • せっかくなので理想的な歯並びにしたい
  • 見た目だけでなくしっかり噛み合わせも治したい

このように矯正治療を始める際のご希望はそれぞれ異なり、一期治療が終わった時の満足度には差が生じます

いろいろな要素を考慮した上で、歯科医師と相談の上ご検討されると良いでしょう。

では、一期治療で行うことと二期治療で行うことの違いを詳しくみていきましょう。

 

小児矯正の一期治療とは、子どもの成長にあわせて歯並びや顎の発育を改善する矯正治療です。そのため、顎の成長期間である6歳〜12歳ごろの小学生の期間に行われます。

顎の成長期であることが前提となるため中学生以上から開始するとなると小児矯正を行うことは難しくなり、成人の矯正と同じような治療を行うこととなります。一期治療から移行する中学生以上の治療ステージのことを二期治療と呼び、二期治療は成人の矯正とほぼ同じと考えていただければわかりやすいでしょう。

では、なぜわざわざ一期治療を行うのでしょうか?

【一期治療の目的】

  1. 顎の成長のバランスを調整する
    例えば出っ歯傾向の強い場合、上の顎の成長を抑えてあげたり、逆に下の顎の成長を促してあげたりすることでバランスを整えます。
  2. 永久歯が正しい位置に萌出するスペースを作る
    全体の幅が狭く歯が入りきらない場合、幅を横に拡げてあげることでスペース作りをします
  3. 抜歯を回避できたり、二期治療の負担を軽減する
    今後萌出する永久歯のことを考えて事前準備することで悪い歯並びが改善していきます。そうすることで本来なら健全な歯を抜歯をしないと矯正が難しい場合でも、一期治療を行うことで抜歯をせずに済むこともあります。
  4. 悪習癖(口呼吸や舌癖)を改善
    口や舌などが本来の動きをできない場合は歯並びに大きく影響します。その悪い癖は子どもの頃の方が改善しやすく、大人になってからでは取り除くことが難しいこともあります。

このように一期治療は、顎の成長期にしか行うことができない矯正治療を行なうことができる点が一番の特徴であり、メリットと言えます。

そのため一期治療を行なっている場合はスムーズに二期治療を迎えることができることが多く、おすすめされることも多いのではないでしょうか。

 

【二期治療の目的】

  1. 歯並びの最終的な調整
    一期治療ではスペースを作りそこに自然に歯が生える土台を作ります。歯並びをより綺麗に並べたり、上下の真ん中を合わせたりといった最終的な歯並び改善を行ないます。
  2. 正しい噛み合わせを得る
    上下の歯が正しく噛み合うように調整を行ない咀嚼機能の向上を図ります。バランス良く上下の歯が噛み合うことで力が分散するため、歯が長持ちしやすくなります
  3. 顎関節への負担軽減
    噛み合わせを良くすることで顎関節への負担を軽減し、顎関節症になるリスクも減少させます。
  4. 歯の健康維持の向上
    より歯並びを理想的にすることで清掃性が向上しメインテナンスの効率があがります。歯並びの悪い状態で歯磨きを完璧にこなすことは困難で、ほとんどが虫歯になってしまいます。
    また、噛み合わせが悪く一部の歯へ過剰な負担がかかっているとその歯の寿命が下がってしまうことが多くあり、それを防ぐ効果があります。

 

必ずしも一期治療から始めた方が良いということではありませんが、早くから治療をすすめることでいろいろとメリットはありそうですね。

 

3.第一期治療でやめる理由は?注意すべきことは?

一期治療で見た目や噛み合わせも良くなり、矯正治療が終了となる場合は全く問題ないでしょう。

しかし二期治療をすすめられたものの、いろいろな理由で一期治療まででやめたいと考えることもあると思います。

【一期治療でやめようと考える主な理由】

  1. 一期治療で思っていたような改善が見られなかった
  2. 子どもが続けたくないと言っている
  3. 中学・高校になって通うのが難しくなってきた
  4. 費用負担が難しい

矯正治療をしているうちに生活環境の変化や子ども自身も成長していくため、通い続けるのが難しくなることがあります。

ただし二期治療をすすめられているのにも関わらず一期治療までで終えるときは注意が必要です。

【注意すべきこと】

①二期治療での目的を達成することができない
上記で述べた二期治療でできることが終わらないまま矯正治療が終了することになります。
理想的な歯並びや噛み合わせを実現できず、中途半端な状態で終わってしまうことで歯の寿命を伸ばしてあげることにつながらないケースがあります。

②元から一期治療で終えることを想定していない場合
一期治療にはいろいろな役割があり、二期治療の準備として行なっている場合もあります。
すなわち準備段階の途中で治療をやめることになり、見た目には歯並びがあまり良くならないまま終了してしまうことになりかねません。

 

 

4.一期治療で終われるケースとは?

もちろん一期治療のみで矯正治療が完了し、二期治療が不要となることもあります。

では、どんな場合に一期治療のみで終われるのでしょう??

  1. 軽いガタガタだけで早期に改善された
  2. 悪習癖が改善され、正常な発育が確認できた
  3. 上下の顎のバランスが取れた
  4. 永久歯の生え変わりが自然な位置に並んだ

このように小学生のうちに舌や唇に悪い癖がなくなり歯並びが良好になった場合は一期治療で終了となります。つまり歯並びや顎のバランスの悪さが軽度であれば一期治療で終われる可能性が高いと言えるでしょう。

一期治療のみで終われることができれば費用もおさえることができますし、治療期間も短くて済むでしょう。ただし、それにはいろんな条件があるということを覚えておきましょう。

 

5.まとめ

矯正治療には長い期間を要することがあり、モチベーションを維持することが難しかったり生活環境の変化で通院が困難になることがあります。そのため本人の歯並びを治したいという意思が必要で、本人や保護者の方、先生みんなが同じ治療のゴールに向かってしっかり進み続けることが大切です。

一期治療にはいろんな目的な役割があるため、どういったことを目標に一期治療を行うのか、どういった場合に二期治療に進むことになるのかをあらかじめ聞いておくことは非常に重要ですし、事前に矯正の先生からしっかりカウンセリングを受けると良いでしょう。

一期治療は顎の成長を予測しながら行う矯正治療であるため不確定要素もありますが、成長後までの治療イメージをみんなで共有しながら楽しく矯正治療に取り組んでもらえると嬉しく思います

監修者情報

2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業

2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了

2017年 日本矯正歯科学会認定医取得

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