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子どもの矯正歯科コラム
小児矯正で抜歯を回避!?抜歯の利点・欠点も
最近では、皆さま矯正に対する知識も高まり、『矯正をするにあたり抜歯が必要になることもある』ということはなんとなく認識されているように思います。
しかし、いくら歯並びがよくなると言っても抜歯はしたくないもの。ほとんどの場合が健康な状態の歯を抜くわけですから、よほどメリットがないと抜歯の決断はできないかもしれません。
今回は、抜歯を回避するためにできることやなぜ抜歯が必要になるのかについて解説してきます。
子供の矯正を考えている方や成人矯正を考えている方向けの記事となっています。
【目次】
- 小児矯正で抜歯を回避!?
- なぜ矯正で抜歯が必要になるの?
- 抜歯する場合のメリット
- 抜歯する場合のデメリット
- まとめ
1.小児矯正で抜歯を回避!?
矯正治療で抜歯を回避することができるのならば、早いうちにやっておきたいですよね?
それはズバリ『適切な時期に』『適切な小児矯正を開始する』ことです。
え、そんな簡単なこと?と思われるかもしれませんが、『適切な時期に』というのが非常に重要です。なぜなら骨格の成長は小学校高学年ごろにピークを迎え、その後は徐々にしか成長しないからです。
まず、前提として歯は骨の中に並んでいます。例えば、出っ歯の場合でも、骨自体が出ているのか、骨は正常だけど歯の傾きの影響で出ているのかで治療は全く異なります。骨格が成長している間は、骨格の成長を促したり、逆に抑制することが可能です。
つまり、顎の成長をコントロールしてあげることでその先の矯正治療で抜歯を回避できる可能性が出てくるわけです。
ここで注意しなくてはいけないのが、小児矯正をすれば抜歯せずに済むというわけではないということです。レントゲンや顔貌の写真などから分析を行い、どういった口元や見た目が良いかなどを相談しながら最適な治療を決定します。そのためには抜歯した方が良いと判断することもあります。
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2.なぜ矯正で抜歯が必要になるの?
ある程度成長がピークを迎え、顎の骨が出来上がってくると顎骨の大きさは変化しなくなります。
そのため一般的に目立たない歯(前から4番目の第一小臼歯または前から5番目の第二小臼歯)を抜くことでスペースを作り、歯を並べたり全体的に引っ込めたりすることができます。これがいわゆる抜歯矯正です。
スペースがある程度必要な場合はやはり抜歯が必要になりますが、少しのスペースだけが必要な場合は以下のような方法もあります。
【IPR:歯の隣接面を少し削る方法】
歯の大きさは少しであれば削ることで痛みや見た目の影響を受けずに一回り小さくすることができます。基本的に前歯を切削することが多く、削る量にも制限があります。
一箇所につき0.5mm以下で、ほとんどを0.2〜0.3mm未満の切削量にとどめます。これにより何らかのトラブルが生じるリスクはほとんどないという報告がなされていますので安心してください。
これを何箇所か行うことでトータルで数mmのスペースを確保することができます。しかし、限られたスペースだけなので、抜歯ほど大きなスペースを得ることができません。
成人(顎骨の成長が止まった後)の場合は、歯を並べるための顎の骨を操作することは特殊な治療方法を除いて難しくなります。そのため、抜歯もしくは歯を切削することでスペースを作る必要が出てくるということです。
最終的に、スペースだけの単純な問題ではなく、横顔の見た目や笑った時の自然な笑顔など様々な要素を考慮し、抜歯が必要か否かを判断します。
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3.抜歯する場合のメリット
①口元の出っ張り(口ゴボ)を改善しやすい
歯を抜くことで大きくスペースを得ることができるため、そのスペースに向けてしっかりと前歯を後方に送ることが可能となります。そのため、口元の出っ張りなど横顔が気になる方は抜歯ありの矯正の方をオススメすることが多いです。
②確実にスペースができるため治療期間が短縮できる場合がある
歯の間のスペースを作る方法はいくつかありますが、抜歯以外の方法は満足にスペースが得られなかったり、スペースを得るためにとても時間がかかる場合が多く見受けられます。
そのため、抜歯矯正の方が短期間で矯正治療が終了するケースもあるため全体的な負担を減らせることもあります。
③歯を削らなくて済む
抜歯をせずに矯正をする場合、歯の間を少し削ることが多いです。痛みが出たりすることは基本的にありませんが、虫歯の治療などをしたことがない方は、逆に歯を何本も削ることに抵抗がある方もおられるでしょう。
4.抜歯する場合のデメリット
①健康な歯を失う・抜歯が怖い
健康な歯を抜くことになるため、ほとんどの方が抵抗を感じるでしょう。また、抜歯を経験されている方は比較的少ないため、抜歯自体への恐怖心が強かったりストレスを感じる方も多いでしょう。
②抜歯費用がかかる・抜歯後に痛みや腫れが出る
矯正治療に伴う抜歯は、保険適応になりません。自費診療分として負担となります。
また、抜歯時は麻酔が効いていれば痛みは感じませんが、抜歯後の痛みと腫れは個人差はあるものの多少なりとも生じるものと考えてください。しかし、痛み止めなどで対応できる範囲であることがほとんどですのでご安心ください。
5.まとめ
小児矯正は通院する期間も長くなり手間はかかりますが、きっと将来後悔することはないと思いますので矯正を検討しているのであればぜひ早めにご相談ください。
また、矯正治療にあたり抜歯をするかどうかはとても悩まれると思います。当然ですが、私たちも健康な歯の抜歯はできるだけしたくありませんので、無理に抜歯をすすめることはありません。健康な歯を抜いてでも噛み合わせや見た目の改善にメリットを感じる場合には治療プランの一つとしてご提案しております。
一番は信頼できる先生を見つけて、納得いくまでご相談されることだと思います。矯正治療は年単位の治療になりますし高額の費用がかかりますので、ぜひ信頼できる先生を探して安心して治療を進めてくださいね。
監修者情報
兵庫県尼崎市の歯医者
しげた歯科・矯正歯科
矯正医:重田 南
2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業
2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了
2017年 日本矯正歯科学会認定医取得