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小児矯正で使うヘッドギアって何?【尼崎の矯正医監修】

小児矯正をする場合に必要な装置の一つとして”ヘッドギア”という装置があります。

矯正の相談を受けられた際に、ヘッドギアの説明を受けた方もおられるでしょう。写真をご覧になられた方は、こんな複雑で大きな装置使えるのかなと不安に思われたのではないでしょうか?歯科医院にて説明を受けてもなかなか理解はむずかしいと思います。

そこで今回は、ヘッドギアの目的や特徴などを写真付で詳しく説明していきます。

これからお子様の矯正をお考えの方や、ヘッドギアを使用する予定のある場合はぜひ参考にしてください。

【目次】

  1. 小児矯正で使うヘッドギアって何?【尼崎の矯正医監修】
  2. 目的は?どのような子が使用する?
  3. 実際の使い方と装着時間
  4. まとめ

 

1.小児矯正で使うヘッドギアって何?【尼崎の矯正医監修】

 

ヘッドギアとは、顎外固定装置の一つでお口の外につけるタイプの矯正装置です。下記の写真のような装置を口腔内の装置と連結して使用します。

主に睡眠時に使用していただくことで効果があります。

小学生の時期に使用することが多く、こどもの矯正治療でも全てのケースで使用するわけではありません。主に上顎の成長を抑制したり、大臼歯を後ろに引っ張る必要がある場合に使用します。以前は、成人でも使用していましたが、アンカースクリューという装置が普及したため使用頻度は減少しました。しかし、アンカースクリューは骨が成長途中である小児では使用できませんので小児矯正では現在もヘッドギアを使用します。

ヘッドギアはフェイスボウという金属の部分と、ネックパッドもしくはヘッドキャップという固定源となるもので構成されます。この二つを患者様本人に装着していただき使用します。

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2.目的は?どのような子が使用する?

【目的】

①上顎骨の成長抑制

上顎の骨に作用することで上顎の骨が前方または下方に成長するのを抑制することができます。

②上顎大臼歯部の遠心移動

上の歯の奥歯を後方にひくことができます。そうすることで、上下顎の奥歯の噛み合わせを改善するとともに、前歯や小臼歯を後方に引っ込める隙間を作ることが可能となります。

【適応症】

  1. 骨格的に上顎骨の成長を抑制したい場合
  2. 上顎の奥歯が理想的な位置よりも前方に位置すると診断された場合

つまり、いわゆる出っ歯傾向にある場合はヘッドギアを使用するケースが多いと言えるでしょう。

 

3.実際の使い方と装着時間

では実際にどのように使用するか、いつ使用するかについて解説していきます。

まず、装着後は上記写真のような形となります。フェイスボウは口腔内の装置につけ、ネックパッドは首にひっかけます。

使用する前段階として、上顎の奥歯に金属のバンドが装着されています。そのバンドの外側にある穴にフェイスボウを差し込むような形で左右ともに装着します。この操作が一番難しいと思いますが、慣れてしまえばすぐに取り外しができるようになりますのでご安心ください。

その後は、フェイスボウの外側の部分にネックパッドをひっかけるだけです。

 

使用するタイミングは基本的に睡眠時に使用してください。最初は寝つきが悪いこともあるかと思いますが、小学生のお子様の適応力は素晴らしいもので、数日で気にせず睡眠できるようになることがほとんどです。

また、お家にいる間に装着できる時間があればできるだけ装着してください当然、装着している時間が長い程効果は高まります。とはいえ、負担になって嫌にならないように可能な範囲で使用して頂ければ十分です。

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4.まとめ

ヘッドギアは装置が大きく見た目もインパクトがあるため、最初見たときには戸惑われる方も多くみられます。しかし、今までの治療の経験上ほとんどのお子様が適応できる印象を受けます。

ケースにもよりますが、こどもの矯正において骨格的な治療を行う場合には欠かせない装置の一つです。正確な診断の下で使用が必要と判断された場合には、ぜひ安心してお子様の矯正治療にのぞんで頂ければと思っています。

 

監修者情報

2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業

2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了

2017年 日本矯正歯科学会認定医取得

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