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小児矯正は痛い?途中で嫌にならない?【矯正医の経験談】

『自分の子供には、矯正治療で歯並びをきれいにしてあげたい!でも・・痛いのかな・・?』

『矯正の痛みにうちの子供が耐えれるだろうか・・?』

歯の矯正というと痛いイメージを元々持っている方も多く、また周りの方から痛かったエピソードを伝え聞くこともありますよね。自分の子どもに矯正治療を受けさせるのかどうか迷われているご両親も多いかと思います。

今回は子供の矯正治療における痛みについて、実際の治療経験に基づきご紹介していきます。

【目次】

  1. 小児矯正は痛い?途中で嫌にならない?【矯正医の経験談】
  2. 痛みの原因と分類
  3. 痛みの程度とその対処方法
  4. まとめ

 

1.小児矯正は痛い?途中で嫌にならない?【矯正医の経験談】

こどもの矯正の場合、痛みが強いと当然続けることが難しくなってしまうため、痛みには十分に配慮しながら治療を進めていきます。しかし、どうしても痛みを感じるタイミングが出てしまうのは事実です。

痛みの種類は様々ですが、その中でも【調整などで改善できる痛み】と【基本的に我慢が必要な痛み】の2種類があります。

以下に対処方法についてもご紹介していきますが、子供の適応力は素晴らしいものがあり、痛みがもし出たとしても痛みや違和感は数日で和らいでくることがほとんどです。大人の矯正治療時とは大きな差を日々の診療で実感します。

また、装置をつけた場合に

『どうしても痛みや違和感が強すぎて我慢できない』

『お願いだからもう外して欲しい』

こういった経験はほとんどありません。それほど子供の適応力はスゴイんですね。

とは言ってもできるだけ痛みは感じたくないものです。それではここからは痛みの原因によって分類し、それぞれの対処方法をご紹介していきましょう。

 

2.痛みの原因と分類

子供の矯正治療の場合、以下のような時に痛みが出る可能性があります。

項目別にまとめました。

  1. 歯の型取り・装置の装着
  2. 歯を動かす・顎の骨に力をかける
  3. 清掃が難しく、虫歯や歯肉炎になった
  4. 装置により粘膜に傷がついてしまう時
  5. 装置の破損・脱離

 

このように装置に関する痛みは様々なシチュエーションで生じます。その中でも、こちらの工夫や調整で最小限におさえることができる痛みもあれば、どうしても矯正治療をするにあたって我慢が必要となる痛みがあります。

それでは、それぞれの痛みについて、”痛みがどの程度”で”その痛みに対する対処方法はないか”について項目別に見ていきましょう。

 

3.痛みの程度とその対処方法

1、歯の型取りや装置の装着時

こどもにとって歯の型取りをすることは大イベントです

大人でも歯の型取りは苦手な方もたくさんいらっしゃいますよね?6〜8歳のお子様が全体の歯の型取りをするのですから、当然大変です。痛みというよりは、どちらかというと嘔吐反射といって喉の奥が気持ち悪い感覚があるでしょう。

また、装置を試適したり装着したりするときに痛みを訴えるお子様も一定数いらっしゃいます。歯に力を加えたり、歯茎に装置が触れることで痛みを感じることがあります。歯科治療に慣れていない子供にとっては、お口の中のちょっとした痛みはあまりない経験なのでびっくりすることも多いでしょう。

これらの感覚や痛みは、私たちの経験と技術により最小限に抑えることは可能です。また、矯正治療を始めるにあたってこの段階をクリアすることが最低限必要となってきます。小さいお子さんにとっては歯医者さんに慣れていることもスムーズに治療を進めることができる要因となるでしょう。

 

2、顎の骨に力をかける時、歯を動かす時

顎の骨や歯に関して矯正の力をかけるときはどうしても痛みが生じます。

(顎の骨に力をかけるとき)

いわゆる顎を広げる治療を行うときに必要です。正中口蓋縫合という上顎の骨にある境目をひらくときに痛みを感じることがあります。一旦開いてしまえば痛みはなくなりますので、最初の数日のみ痛みがあることが特徴です。これは歯とは関係がないので、何もしていなくても痛みを感じることが多いです。また、拡大スピードを自由に設定することができるため、痛みが強い場合は拡大を一旦止めたり、半分のスピードでゆっくり拡大することもあります。

(歯に矯正力をかけるとき)

歯を動かす時は何もしていなくても痛い場合もありますし、一番多いのは噛む時に歯が痛いという症状が出ます。特に力をかけ始めたときに一番痛みが出やすく、徐々におさまってくるのが特徴です。

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3、清掃が難しく、虫歯や歯肉炎になった時

装置を入れてる時は、どうしても歯磨きが難しくなります。それに伴い、矯正治療中は虫歯や歯肉炎のリスクがあがります。

基本的には普段通り歯ブラシをしっかりしていただけば問題ありませんが、装置の周囲に関してはそれぞれの装置に適した清掃方法を行うことが必要です。経験上、清掃不良になることで装置周囲の歯ぐきが腫れてしまい、部分的な歯肉炎が生じることが一番多いように思います。

もし虫歯になった場合は、当然虫歯治療を行います。歯肉炎にて腫れたり痛みが生じている場合は、徹底的に清掃を行い直接お薬をいれたりすることもあります。また、装置を修正したり清掃指導させていただくことでそれぞれの再発の防止を図ります。

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4、装置が口の中の粘膜や舌に擦れることで傷がついてしまう時

矯正装置はどうしても凹凸があり、粘膜などに傷がついてしまうことがあります。その際には一部口内炎ができてしまうこともあります。

小児矯正の装置の場合、口内炎ができることは稀で、できたとしても基本的に装置の修正で改善できることがほとんどです。場合によっては、専用のワックスで装置を保護することで粘膜を守るという手段もありますが、小児矯正で使用することはあまりありません。

 

5、装置が壊れたり、外れかけている場合

装置に何かトラブルが生じた際には痛みが出やすくなります。基本的にはすぐに連絡をして対応してもらうようにしましょう。

特に装置の金属部分が破損した場合で痛みがある場合は、早急に解決してあげるのが良いでしょう。また、取り外しのできる装置で破損により痛みがある場合は、一旦外しておいて早めに来院することが好ましいです。取り外し式の装置でも、しばらく放置しておくと歯か元の状態に戻る力がかかりますのでご注意ください。

 

4.まとめ

小児矯正に伴う痛みは様々で、調整で緩和できるものもあれば、どうしても我慢しなければいけないものもあるということをご理解いただけたかと思います。

ただし小児矯正の場合はいくつか装置の種類がありますので、お子様の性格や特徴に合わせて装置を選択することも可能です。実際にお子様と直接おしゃべりしたり型取りの状況を見て、装置を変更することもあります。決まりきった装置を使うのであれば不安ですが、お子様に合った装置を使用するのであれば安心して治療を受けていただけると思っています。

 

最後に、痛みが原因で小児矯正を投げ出す子はほとんどいないと言っても良いと思います。もし歯医者さんが怖いなどの恐怖心があれば、まずは歯医者さんに慣れるところから始めてみても良いでしょうし、楽しく矯正治療を進めることが一番大切です。

お子様の矯正治療の痛みが不安な方はいつでもご相談くださいね。

 

 

監修者情報

2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業

2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了

2017年 日本矯正歯科学会認定医取得

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