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子どもの矯正歯科コラム
なぜ子供の歯並びは悪くなるの?意外と知らない正常な歯列
ここ最近、子供から大人まで歯の矯正治療は以前よりもごく一般的なものとなってきています。特にSNSの普及により若い世代においては矯正治療が身近なものとなってきているように感じられます。
ある調査によると、20代女性で矯正治療をしたことがない人のうち『歯の矯正に興味がある人』の割合は約50%にものぼるそうです。このことからもかなりの方が歯をキレイにしたいと考えていることがわかります。
では、なぜ歯並びはそもそも悪くなるのでしょうか?
乳歯が抜け、その代わりに順番に永久歯が生えてきますよね?まさに歯並びが悪くなる理由はその過程に隠されています。
その理由の多くは子供の頃にあるため、子供の歯並びにスポットを当てて解説していきましょう。
こちらの記事は子供の歯並びがなぜ悪くなるのか、あるいは自分の歯並びはなぜ悪くなったのか気になる方向けの記事となっています。
【目次】
- なぜ子供の歯並びは悪くなるの?
- 悪い歯並びの例
- 乳歯の正常な歯並び
- まとめ
1.なぜ子供の歯並びは悪くなるの?
歯並びが悪くなる原因はどのようなものがあるのでしょうか?
歯並びが悪くなる原因として、大きく分けて遺伝的要因と環境的要因の二つがあります。
【遺伝的要因】
- 顎の骨の大きさ
- 歯のサイズ
- 先天性欠損
遺伝的に決まっている原因には根本的に解決をすることはできませんが、顎の大きさなどは場合によっては矯正治療により少しコントロールできる場合があります。
【環境的要因】
代表的な7つの要因をご紹介します。
①指しゃぶり、おしゃぶり
歯並びの観点では早くなくなることが良いですが、2〜3歳頃にはなくなっていることが望ましいでしょう。それでも続いている場合は一緒にやめれるようにうまくサポートしてあげましょう。
②唇をかむ、爪をかむ
咬唇癖、咬爪癖と言われるもので時期を問わず好ましくありません。噛んでいる部分の歯が傾いてしまうため、こういった行為は習慣付く前にやめるようにしましょう。
③鼻呼吸と口呼吸
鼻呼吸がうまくできず口呼吸になると、口があいたままになるため口腔周囲のバランスが失われます。鼻呼吸がうまくできない場合は、意識的に鼻で呼吸をする練習をしたり、鼻づまりがある場合には耳鼻科を受診しましょう。
④姿勢が悪い
歯並びと姿勢は間接的に相互作用があると言われています。座っているときや立っている時も含めて、普段から正しい姿勢を保つように心がけましょう。
⑤頬杖、うつぶせ寝
顎の歪みや歯列の歪みを引き起こす可能性があります。できるだけ頬杖をつかないように意識すること、そして寝るときはできるだけ仰向けに寝やすいような環境を整えるようにしましょう。
⑥虫歯
虫歯になると噛み合わせが変わったり、歯の幅が変化することで歯並びに影響します。特に歯と歯の間の部分が虫歯になると後ろの歯が前に寄ってくることがありますので、特に注意が必要です。
⑦よく噛んでいない
日常的に硬いものをしっかり噛むことで顎の成長を促すことができると言われています。やわらかい食べ物の方が噛みやすくてお子様に好まれることが多いですが、やわらかいものでも丸呑みしないようにしっかりと咀嚼をすることが重要です。
【関連記事】子供の悪習慣の改善に欠かせないMFT治療(口腔筋機能療法)とは?
2.悪い歯並びの例
まず、歯並びが悪い状態は大きく5つに分けられます。
- ガタガタ・デコボコ(叢生・乱杭歯)
- 上顎前突(出っ歯)
- 反対咬合(受け口)
- 開咬
- すきっ歯(正中離開)
※「すきっ歯」は乳歯列の場合必ずしも悪い状態とは限りません
この中でも、前歯がガタガタで気になるというお悩みが一番多いと感じます。歯の矯正を考えている方は、自分がどれに分類されるかを理解しておきましょう。
①ガタガタ
歯が重なり合ってガタガタしている状態のことを叢生といい、最近ではガチャ歯とも呼ばれています。
【主な原因】
- 顔が小さい
- 歯が大きい
- 正しい生え代わりができなかった
- 口呼吸や低位舌
特に小顔の女性などに多い歯並びです。
小児矯正の場合は歯列の幅を拡げて歯が並ぶスペースを作ってあげるような治療を行うことが多く、それでも難しい場合は抜歯矯正を検討することがあります。
②出っ歯
上の前歯が前方に出ていることを上顎前突といいます。このような歯並びの方は横顔を気にされる方も多いです。
【主な原因】
- 指しゃぶり、おしゃぶり
- 舌突出癖
- 口呼吸
- 骨格(遺伝)
小児矯正で出っ歯を治す場合は、上下のバランスを整えることを重点的に行います。
③受け口
下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態のことを反対咬合といい、受け口とも呼ばれています。
【主な原因】
- 骨格(遺伝)
- 歯の傾き
遺伝的な要素が強いため対応が難しく、早期に治療を始めることもあります。
④開咬
奥歯は噛んでいるが、前歯がうまく噛めていない状態のことをさします。
意外とこのような噛み合わせの方はたくさんいらっしゃいます。奥歯への負担が大きく、将来的に奥歯を失ってしまう確率が高いと言われています。
【主な原因】
- 指しゃぶり、おしゃぶり
- 舌突出癖
- 口呼吸
⑤すきっ歯
歯と歯の間にすき間がある状態です。
【主な原因】
- 歯が小さい
- 歯の本数が少ない
では、そもそも正常な歯並びとはどういうものなのでしょうか?次に乳歯の時期の正常な歯並びをご紹介します。
【関連記事】悪い歯並びの治療例
3.正常な乳歯の歯並びとは
医学的に”良い乳歯の歯並び”とは以下にような条件を満たすものです。
①歯列に適切な空隙がある
乳歯の間に適度な隙間があることで、乳歯よりも大きな永久歯が萌出してきてもスペース不足になりません。これがみなさんにとって一番意外な事実かもしれません。乳歯の時期は、歯がきっちり並んでいるからと言って理想的な歯並びではないということを覚えておいてください。
②前歯の被害が1〜2mm程度または切端咬合である
被害が1〜2mmとは、上の前歯が下の前歯に対して少し覆いかぶさるような状態です。
また、切端咬合とは上と下の歯の先端同士が噛み合う状態のことです。
③乳歯の本数が20本揃っており、上下全ての歯が咬合できている
乳歯は生後6ヶ月ごろから萌出を開始し、2歳半〜3歳にかけて20本全て揃います。
本数が少なかったり(先天性欠損)、2本の歯が癒合していたり(癒合歯)することもあり、そういったことも歯並びに影響を及ぼすこともあります。
これら全ての条件を満たしているお子様は現代では数少ないと言えます。ただし、一般の方が普段見てわかる歯列不正はそれほど多くないため、大人の歯が生えてくるまで気づかれないのが一般的です。
もし乳歯の段階で少し歯並びが悪いなと感じる場合は、永久歯が萌出したときにはより傾向が強くでる可能性があります。
【関連記事】小児矯正はいつから? 矯正開始時期のタイミングを知る3つのポイント
4.まとめ
乳歯の正常な歯列は意外に思われた方も多いでしょう。小さい頃の歯並びを見極める重要なことですので、ぜひ参考にしてください。
原因になる癖や習慣に関しては一つや二つは該当するものがあるでしょうか?最近では、花粉の影響などもあり、アレルギー性の鼻炎をもつお子様はかなり増加している印象をうけます。そのためうまく鼻で呼吸ができない子も増えています。耳鼻科との連携で治療をすすめることの重要性もさらに感じている日々です。
上記で述べたように歯並びが悪くなる要因はたくさんあります。もしあったとしても徐々に一つずつ改善していければ問題ないでしょう。ご家庭で取り組む際も、無理のない程度で、できれば歯科医師に相談した上で取り組むことをオススメ致します。
最後までご覧いただきありがとうございます。
監修者情報

兵庫県尼崎市の歯医者
しげた歯科・矯正歯科
矯正医:重田 南
2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業
2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了
2017年 日本矯正歯科学会認定医取得