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小児矯正に欠かせないMFT(口腔筋機能療法)とは?

MFT(口腔筋機能療法)という口腔周囲筋のトレーニングをご紹介します

こどもの矯正を始めている、あるいは今から始めようとしているご両親はぜひチェックしてください。

相談をされた経験がある方や、詳しく調べられている方ならMFTという言葉を聞いたことがあるかもしれません。

『なかなか難しくてわからない』

『そんなトレーニングで歯並びが良くなるの?』

こういった疑問や不安が少なからず生じていることでしょう。

こちらの記事では、そんな疑問や不安を解消するためにMFTの目的から実際の効果などについて説明していきます

【目次】

  1. 小児矯正に欠かせないMFT(口腔筋機能療法)とは?
  2. MFTの目的
  3. MFTの実際のトレーニング方法をご紹介
  4. まとめ

 

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1.小児矯正に欠かせないMFT(口腔筋機能療法)とは?

MFT(口腔筋機能療法)とは、『歯の周囲にある口腔周囲筋の機能を改善する訓練法』のことで、トレーニングとは言うものの大事な矯正治療の一つです。

簡単に言い換えると、『口の周りの筋肉をうまく動かせるようにしましょう』ということです。矯正治療においてこのような訓練をする理由は、口腔周囲の悪習癖が歯並びに悪影響を及ぼすからです。

では口腔周囲の悪習癖とはどのようなものがあるのでしょう?

代表的なものを以下にあげます。

  • 舌突出癖
  • 口呼吸
  • 口唇閉鎖不全
  • 低位舌
  • 指しゃぶり(吸指癖)
  • 咬唇癖
  • 異常嚥下癖

舌、唇、頬に関するこのような癖が悪習癖と分類され、歯を並べるにあたっては問題となります。

 

2.MFTの目的

舌や唇に関係する悪習癖を改善し、不正咬合の発生や矯正治療後の後戻りの原因を防ぐ

なぜ舌や唇の癖を改善するかというと、それらの筋肉からの圧力で歯が押されることにより歯列不正が生じるためです。逆に、矯正治療によって歯並びを治すことで筋肉の機能が自然と治ることもありますが、この癖が治っていないと後戻りが生じてしまうのです。

そのため、口腔周囲の悪い癖と歯並びを並行して改善していくことが最終的にとても重要になります。

 

咀嚼、嚥下、発音、呼吸の機能を改善する

なんと歯並びだけではなく、食べる・飲み込む・しゃべる・息をするといった機能を改善することもできてしまいます。それだけ口腔周囲筋の動かし方は複雑で大事な役割を果たしているということがわかります。

 

3. MFTの実際のトレーニング方法をご紹介

MFTでは、患者さんの状態に合わせて「舌の筋力を高め、舌の正しい位置を覚える」「お口の周りの筋力を高め、口唇の閉鎖を促す」といったトレーニングを組み合わせて進めていきます。

今回は代表的なトレーニング方法をいくつかご紹介しますので、是非参考にしてください。

スポット

舌の先をつけておく正しい位置を覚えるトレーニングです。

正しいスポットの位置は、上の前歯の後ろにある切歯乳頭と呼ばれるプクッと盛り上がったヒダのすぐ後ろです。

スポットにスティック(木の棒など)をあて正しいスポットの位置を確認した後にスティックを外し、大きくお口を開けた状態で舌の先を丸まらないようにスポットの位置につけ5つ数えましょう。

ポッピング

舌の筋力を高め、舌の裏にあるヒダ(舌小帯)を伸ばし舌を持ち上げる力を向上させるトレーニングです。

舌の先をスポットにつけて舌全体を上あごに吸い上げたあと、口を大きく開けて「ポン」と音を出します。

この際、舌の先はスポットにつけ、舌の裏にあるヒダをできるだけ伸ばすようにしましょう。

ポスチャー

口唇と舌の正しい位置を覚え、習慣化できるようにするトレーニングです。

舌の先をスポットにつけて舌全体を上あごに吸い上げ、この状態でストローを上の犬歯の後ろに置き軽くストローをかみ固定し口唇を閉じます。

ボタンプル

上下の口唇の筋力を高めるトレーニングです。

ボタン(直径3cmくらい)に60cmの紐(タコ糸など)を結びます。

奥歯を噛んだ状態で前歯と口唇の間にボタンを挟み、口唇を閉じます。この状態で状態で口唇に力をいれて紐を前に引っ張ります。

 

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4. まとめ

口腔機能の訓練についての概要と実際の訓練をご紹介しました。

私たちは、お子様それぞれの歯並びとお口の状態に合わせてトレーニングの種類を選択し、その子に合わせたプランニングをします。すごく地道なトレーニングなのでモチベーションを保つのが難しく、本人だけでなく保護者や私たちの協力・工夫が必要となってきます。

数週間で効果が出てくることもあり、MFTの重要性をその度に実感しています。やはり小児矯正には欠かせない治療の一つと言えるでしょう。大人になってからではなかなかできない治療であり、また効果が出にくいため、こどものうちにする矯正治療のメリットが大きく感じられる瞬間です。

できるだけ楽しく工夫をしながらトレーニングに取り組むことが、MFTそして矯正治療を成功させる秘訣と言えるかもしれませんね。

 

監修者情報

2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業

2016年 徳島大学大学院 口腔顎顔面矯正学分野 博士課程修了

2017年 日本矯正歯科学会認定医取得

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