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小児歯科コラム
【尼崎の歯医者さん監修】フッ素塗布の3つの効果
フッ素塗布とは、歯に対してフッ化物を作用させることで虫歯になりにくくする方法です。
フッ素塗布は効果も実証されていますし、正しく応用することで虫歯のリスクを減らすことができます。
筆者自身、自分の子供に対してもフッ素塗布を実践し、虫歯のリスクを減らすことにつとめています。
・こどもの歯が萌出してきたけど、嫌がって歯磨きさせてくれない
・頑張って歯磨きしているけど虫歯にならないか不安
・つい甘いお菓子をあげてしまうが大丈夫?
そんな不安を抱えている皆様は、ぜひフッ素に対する知識を学んでこどもたちのために活用してください。
【目次】
- 【尼崎の歯医者さん監修】フッ素塗布の3つの効果
- フッ素塗布の方法
- フッ素のメリットとデメリット
- まとめ
1)【尼崎の歯医者さん監修】フッ素塗布の3つの効果
①歯の質を強くする
フッ素が歯の表面に作用することで、エナメル質の約96%を占める主成分であるハイドロキシアパタイトが変換されフルオロアパタイトという成分に変換されます。
フルオロアパタイトの結晶は酸に強く、脱灰しにくい特性を持つため、歯の表面を強くしてくれます。
そうすることで、歯の表面のエナメル質が強化され虫歯になってしまうのを予防する効果があります。まずは虫歯菌に負けない強い歯を作ることが大切です。
②再石灰化促進
フッ化物のもう一つの虫歯抑制の秘密は、再石灰化の促進です。
ご飯を食べたり、ジュースを飲んだり、お菓子を食べたりすると、お口の中が酸性の状態になります。酸性の状態では歯の表面が溶け出し、弱くなってしまいます。
弱ってしまった歯を元の状態に戻す作用が再石灰化で、この再石灰化を促進する作用がフッ素には含まれていますので虫歯に抵抗する強い歯に戻すことができます。
③口腔細菌の働きを抑制
フッ素が虫歯菌の代謝を抑制して、抗菌作用を示すことが報告されています。虫歯菌は増殖しながら酸を産生することでどんどん虫歯を大きくしていきますが、増殖を抑制することで虫歯のリスクを減少させることができます。
虫歯の原因となる菌を減らすことで歯を守ることができるのです。
2)フッ素塗布の方法
フッ素塗布の方法には2通りあります。
①歯科医院で行うフッ素塗布
歯科医院では、ご自宅で塗布するものよりも高濃度のフッ素を塗布することが認められています。フッ素の濃度を示す値では9,000ppmで、市販の歯磨き粉などと比較すると6〜10倍程度の濃度があります。濃度が高いため市販で購入することはできません。
3、4ヶ月に1回塗布することで効果が得られる濃度と言われていますので、検診の際に塗布してもらうのが良いでしょう。
②家庭で行うフッ素塗布
ご家庭でフッ素塗布を行う場合は、基本的にフッ素入りの歯磨き粉を使用して歯にフッ素を取り込むことが一般的です。
フッ素をより効率よくとりこむためのポイントをお伝えします。
・なるべく長い時間磨く
歯磨きをしている時間は歯磨き粉の成分が歯にしっかり行き届くため、最低でも3分以上かけて磨くよう心がけましょう。これは口腔内のプラークを取り除く意味でも効果的です。
・お口をゆすぐのは少量の水で1〜2回程度
歯磨きが終わった後も、フッ素の効果が持続している環境が好ましいといえます。そのためには、歯磨き粉を全て流してしまうのではなく、少し停滞した状態で終えるのも良い方法なのです。歯磨きの後は少量の水でゆすぎ、少し歯磨き粉の味が残るかな、というぐらいでかまいません。
・年齢に合ったフッ素濃度の歯磨き粉を使用する
2023年1月1日に4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法が改めて発表されました。
4学会とは、日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会です。
その中にある表を一部引用します。
一番大きく変化した点は、0歳時から使用できるフッ素濃度が約2倍になりました。もちろん今までの500ppm程度の歯磨き粉でも問題ありませんし、そちらを使用しているからといって虫歯になるわけではありません。担当の衛生士さんと相談の上、お子様の状態に応じて使用する歯磨き粉を検討してみてください。
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3)フッ素の安全性と危険性
フッ素には様々な良いメリットがありますが、使用方法を間違えるとデメリット(副作用)も生じます。
ここではフッ素の安全性と危険性についても解説していきます。
フッ素はカルシウムなどと同様、体内にも存在している成分ですので比較的安全な物質と言えます。しかし、適量の摂取に関しては問題ありませんが、以下のような副作用を引き起こす可能性があります。
①急性中毒、慢性中毒
例えば未就学児がフッ化物洗口液を一本飲むなど、よほど過剰な摂取をしない限り、このような中毒は起きません。
②歯のフッ素症(斑状歯)
歯冠形成期(歯が萌出する前に歯の表面を形成する時期)に毎日のように過度に摂取することで生じます。
歯磨き粉を毎日のように歯ブラシからはみ出すぐらいの量を使用しなければ大丈夫です。未就学児であれば歯ブラシの1/4〜1/3ぐらいの量を目安に歯磨き粉を使用してください。
③骨フッ素症(骨硬化症)
アジアの一部の地域で、フッ素濃度の高い水道水を使用している地域にてリスクがあるもので、フッ素濃度の高い水道水を何十年単位で長期的に使用すると発症すると言われている疾患です。日本で生活している限り、ほぼ心配のないものです。
このように歯磨き粉を異常な量使用したりしなければ回避できるものばかりですので、大きな心配はいりません。
ただし、小さいお子様は予想もしない行動をすることがありますので、歯磨き粉の置き場所などその点は十分にご注意ください。
4)まとめ
フッ素塗布は虫歯のリスクを減らすためには非常に良い手段です。
歯ブラシで汚れを落とすだけではなかなか虫歯に打ち勝てない場合もあります。うまくフッ素の効果を利用することで、虫歯に強い歯を作りましょう。
お子様の歯を守るためには、定期的に歯医者さんでフッ素塗布をしてもらうことをおすすめします。