BLOG

【検診】学校の歯科健診で虫歯!意外と知らないこんな理由

お子様が学校に通っている場合、多くの学校では毎年6月までに学校歯科健診が実施されます。健康診断の一部として歯の健康診断も行われるんですね。

お子様が歯科健診の紙をもらってきて、項目にチェックが入っていたこともあるでしょう。

『普段、歯医者さんに検診で通っているのになぜ?』

『この前、虫歯の治療が終わったばかりなのになんで?』

このような疑問を抱いた方、きっとたくさんいらっしゃると思います。

実は、それには理由があります。

こちらの記事では、学校健診の目的や医院での歯科検診との違いについて解説していきます。

【目次】

  1. 学校の歯科健診で虫歯!歯医者に行ったばかりでなぜ?
  2. 歯科健診の目的と実際
  3. 歯科健診の項目
  4. まとめ

 

1.学校の歯科健診で虫歯!歯医者に行ったばかりでなぜ?

まず前提として覚えておいていただきたいのが、”虫歯”と言っても治療の必要性がある虫歯と治療の必要性のない虫歯があるということです。

虫歯のことをcariesというので頭文字をとってCと言います。また、進行の度合いに応じてC0(ゼロ)〜C4(フォー)として分類されます。

虫歯の場所やお口の中の状態にもよりますが、C2以上に関しては基本的に虫歯治療を実施しますが、C0やC1は経過観察の対象になることがあります。つまり、C0、C1に対しては虫歯ではあるが、治療の必要性がない場合もあるということです。

学校健診の場合は、治療が必要かどうか経過をみるべきものを要経過観察歯/CO(シーオー)、治療の必要性を認めるものを虫歯/Cと総称します。

歯医者さんでの検診の判断基準と、学校歯科健診での判断基準は分類こそ違うものの考え方は基本的に同じです。それでも『歯医者さんでは大丈夫と言われたのに、学校歯科健診で虫歯にチェックが入っていた』という事態が生じてしまいます。

では、なぜこのようなことになるのでしょうか?その理由は、実は学校歯科健診の特性にあります。

 

2.歯科健診の目的と実際

【学校健診の目的】

生徒の口腔内の健康状態を確認し、虫歯や歯肉炎、歯並び、顎関節などの問題を早期に発見することで予防や治療につなげることです。

また、歯科健診をきっかけに歯の健康管理や衛生管理についての重要性を生徒に理解してもらい、口腔内の健康増進を促すことも目的の一つと言えます。

 

つまり、少しでも虫歯になっている場合、少しでも歯並びに異常を認める場合なども、予防や早期発見を目的としてチェックがかかるという仕組みになっています。

 

【歯科健診の実際】

私たちも毎年学校健診に伺いますが、判断の難しいものはチェックをかけて歯科医院での精査対象とします。

え、そんなにあいまいな検査なの?と思われた方もいるでしょう。それは歯科健診の特性にあります。歯科健診では、座ったままペンライトなどで歯を照らしながら少し暗い条件下で検査をすることが多いです。当然、レントゲンの検査もありません。歯に歯垢がついていると虫歯が隠れてしまうこともあります。つまり、歯科医院で歯をチェックする場合と条件が大きく異なるわけです。(歯科医院のチェアーは本当に細かいところまで良く見えます!)

歯科健診は、スクリーニング検査の一つであり、何か異常があるかどうかを大まかにふるい分けするものとして実施します。全身の健康診断と同じだとお考えください。

例えば、健康診断の検査値で異常があれば、”要検査”などと記載があり専門外来へ受診するように通知がきますよね。歯科健診の結果も同様で、多くはチェックがかかっている部位に関して大丈夫かどうかを歯科医院で検査してもらいましょうという通知だとお考えください。

 

3.歯科健診の項目

学校の歯科健診は主に以下の項目をチェックします。もしかすると地域や学校により検査項目やまとめ方が少し違うかもしれませんが、その点はご了承ください。

①要観察歯/CO

表面の白濁、裂溝部の褐色・黒色の変色などの初期虫歯が対象となります。すぐに治療を要する状態ではなく、適切なブラッシングや生活習慣などの対応により現状を維持あるいは改善できるものです。

②要治療歯/C

歯の表面に空洞ができ始め、治療を必要とする状態です。主にC2以上の状態を示します。また、詰め物が外れていたり、治療途中のものも要治療歯として含みます。

③要注意乳歯

下から後継の永久歯が萌出し始めており、その障害になっている乳歯のことです。名前が大げさなため、びっくりして歯医者さんに来られることも多いです。治療としては、早めに抜歯をしてあげるか、そのまま経過をみて自然に脱落をするのを待つかを選択します。

④歯茎

(GO)

歯肉に炎症が見られるものの歯石の沈着はなく、歯磨きや生活習慣の見直しにより改善できるもの

(G)

歯肉の炎症および歯石の沈着があり、歯科医院にて歯石除去処置や清掃指導を受けるとともに歯磨きや生活習慣の見直しにより改善が見込めるもの。

⑤歯垢

その名の通り、歯に歯垢が付着している状態ですので、歯磨きの習慣改善や歯科医院での清掃指導を受ける必要があります。

⑥顎関節・噛み合わせ・歯並び

これらに異常を認める場合、歯科医院にて精査してもらう必要があります。ただし、矯正治療中などもこの項目にはチェックが入るため、その際には特に心配いりません。

 

以上のように、どこにチェックがあったとしても歯医者さんに一度受診されることをオススメしますつい最近受診された場合などは、心配ないとは思いますが健診結果の紙を持ってその歯科医院を受診し、受診結果を記入してもらいましょう。

 

 

4.まとめ

学校歯科健診は、その特性上、全ての歯を正確に診断ができるものではありません。虫歯やその他の異常を早期発見して予防に努めることが目的となっていることを知っておきましょう。虫歯や歯並びなどその他の異常は早期発見・早期治療できるに越したことはありません。

虫歯に関しては初期虫歯であれば痛みが少なく、処置時間も短い治療で済みます。また、歯並びに関しては小学生のうちにしかできない内容の矯正治療も存在し、選択肢が拡がることでその子に合った治療法が選べる可能性もあります。

学校歯科健診の通知はあまりうれしいものではありませんが、悪いお知らせとは思わずに良いきっかけと捉えましょう。特に大きな異常もなく経過観察の場合も多いですし、まずは近くの歯医者さんに受診してみましょう。

監修者情報

2011年 徳島大学歯学部歯学科卒業

2022年 しげた歯科・矯正歯科開業

詳しい経歴はこちら
小児歯科についてはこちら